職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第67号
[ 旧タイトル 内容証明郵便でブレイク! ]
平成21年3月23日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 日常家事連帯債務について その2
☆ 民法の大家我妻栄の考え方
☆ 妻の代理と本人確認
□ 日常家事連帯債務について その2
☆ 民法の大家我妻栄の考え方
前回のメルマガで昭和44年12月18日最高裁判決の2つの重要な判断を書きました。
実はこの2つの判断は、我妻栄博士の考えそのものなのです。
我妻博士の「民法講義」は、少し前まで民法を勉強する人が第一に挙げる基本書でした。
日常家事連帯債務について我妻さんの考えが知りたくなり、図書館に行きましたら、
「親族法」昭和57年版が書架にありましたので、早速読んで見ました。
さすがに詳しく書かれていました。 他の学者の本も見てみましたが、我妻さんの
受売りで全然比べものになりません。
私が一番知りたかったのは、妻が夫名義のカードを使用しての借金が
日常家事連帯債務になるかということです。
我妻さんの「親族法」昭和57年版から要点を整理すると次の通りです。
・ 当該夫婦の共同生活に特に必要な資金調達の為の財産の処分と借財は、
日常家事に含まれると解すべきである。
(例) 夫の不在中に妻が生計に窮して夫名義の借財をし又は夫名義の財産を
処分すること。
↓
・ 日常家事連に関する妻の法律行為は夫の名でなされたものと推定すべしと云われ、
日常家事に関する行為であれば、夫婦いずれの名でなされようと関係がない。
↓
・ 実際的に云えば、相手方が日常家事に関するものであることが分ることを要し、
かつこれをもって足る。
↓
・ 夫か妻のいずれか一方の名でなされた場合でも、特にその者だけが法律行為の
当事者となる旨が明らかにされない限り、両者について法律効果が生ずる。
↓
・ 夫婦は相互に相手を代理する権限を有する。
↓
・ 従って、妻は夫婦共同生活の運営に必要な限りでは、夫名義の借財をする権限を
有するのみならず、夫名義の財産を処分する権限をも有する。
↓
・ ただ、不動産・預金・株券など名義が明らかに夫のものとなっている財産を妻が
処分する場合は、近代の取引における形式的画一性の要請により必ず夫名義で
処分しなければならない。
☆ 妻の代理と本人確認
我妻博士は日常家事に関するものであれば、妻はその代理権に基づき
夫名義での借財はもとより、夫名義の財産を処分出来ると云っています。
この結果、日常家事の範囲に属する限り、妻が夫の了承を得ていなくても、
夫と妻は連帯債務を負い、業者は夫に請求出来ることになります。
ところで、現代は本人の意思確認が厳格に求められています。
現場の実務ではどのように運用されているのでしょうか。
妻が夫名義の銀行預金を解約する場合について、銀行に確認して見ました。
「本人と妻の運転免許証が必要であり、本人にも電話で意思確認を致します」と
のことでした。
つまり、夫の委任状や印鑑証明書までは要らないが、銀行は夫に必ず意思
確認をするのです。
では妻が夫名義の不動産を売却する場合はどうでしょう。
不動産仲介業者への依頼までは妻が代理して出来るとしても、
買主が見付かって所有権の移転登記の際には、司法書士が必ず夫の意思確認
をするのが登記実務のようです。
これらから、妻が夫名義のカードを使用して生活費に使った債務について、
カード会社と和解をする場合、妻の単独ではやはり無理であり、
カード会社は夫の意思を確認することになりますから、
結局和解書は夫との連名にならざるを得ないというのが私の推測です。
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