職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第65号
[ 旧タイトル 内容証明郵便でブレイク! ]
平成21年2月3日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 労働条件の一方的な不利益変更
☆ 賃金を一方的にカットされた場合
☆ 自宅待機と休業手当
□ 労働条件の一方的な不利益変更
☆ 賃金を一方的にカットされた場合
昨年来の雇用調整は派遣社員の雇い止めから正社員に波及しつつあります。
しかし、雇用期間を定めない正社員を解雇することは、極めて難しいのです。
解雇は「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない
場合は、解雇権の濫用として無効」(労働契約法第16条)とされる為です。
そこで起こっているのがいじめであり、悪質な嫌がらせです。
最近、「自分ひとりが賃金を一方的に40%もカットされた。 それでいいなら出社して
来いと云われた」という相談がありました。 40%カットすれば生活出来なくなるのを
会社は知っていてやるのですから、陰湿ないじめの極みです。
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さて、賃金の一方的なカットなんて労働者の同意なしには認められません。
「賃金は労働契約における重要な労働条件であり、原則的には労働者の同意なく一方
的に不利益に変更することは出来ない。 しかし、変更することについて合理的な理由
がある場合は、就業規則等により変更することが出来る」
(昭和43年12月25日最高裁判決、秋北バス事件)という判決で確定しているからです。
また、労働契約法(平成20年3月1日施行)の第8条でも労働者の合意により労働条件
の変更が出来ると定めています。
では、就業規則で変更する場合はどうなのでしょうか。
この場合もやはり「・・・労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、
変更後の就業規則の内容の相当性・・・その他の就業規則の変更に係る事情に照らし
合理的なものであるとき・・・」に限られています。
結局、就業規則による一方的な不利益変更もハードルは極めて高いのです。
☆ 自宅待機と休業手当
次に「賃金を40%カットする。それでいいなら出社せよ」と会社から云われ出社しな
かった場合、使用者の責に帰すべき休業として給与を請求出来るのでしょうか。
使用者の責に帰すべき休業の場合には、労基法第26条により休業手当(平均賃金の
6割以上)を請求出来ますし、
就業規則で民法第536条の適用を排除していない場合には、給与の全額を請求出来ます。
そこでまず、賃金を40%も一方的にカットするのは違法であり認められません。
「それでいいなら出社せよ」というのは、労働の提供の拒否です。
つまり、実質的に自宅待機の命令と変わりないとすれば、
会社の責に帰すべき事由による休業になると思います。
ところで、民法第536条と労基法第26条では何が違うのでしょうか。
労基法第26条 → 「使用者側に起因する経営・管理上の障害」
民法第536条の場合 → 故意・過失又は信義則上これと同視すべき事由に限られる。
という違いがあります。
先の賃金40%カットが呑めないのなら出社しなくていいというのは、
会社の故意と同視できる労働の提供の拒否であり、
民法第536条に基づき賃金の全額を請求出来ると私は考えますが、
如何なものでしょうか。
参考資料 →自宅待機と休業手当、労働条件の切り下げ
(埼玉県産業労働部)
労働契約法
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