内容証明郵便でブレイク ! 第54号
平成20年2月3日発行
今回の目次
□ 入学辞退と納付授業料等の返還
□ 結婚式場のキャンセル料
□ 入学辞退と納付授業料等の返還
2月に入りプロ野球のキャンプが一斉に始まりました。 そして、いよいよ入学試験の
シーズンです。 この時期になると何時も起きていたのが学納金の返還問題ですが、
現在は平成18年11月27日の最高裁判決で決着が付いています。
最高裁判決の要点は、以下の通りです。
・ 在学契約 → 入学手続きを完了すれば成立。 学生の身分取得は、通常4月1日。
・ 入学金 → 入学金は入学し得る地位を取得する対価であり、返還を要しない。
・ 在学契約の解除 → 入学辞退は口頭でもよい。 要項に「入学式を無断で欠席すれば、
入学辞退と見なす」旨の記載がある場合、入学式の無断欠席は在学契約解除の
黙示の意思表示と解するのが相当。
・ 授業料の不返還特約要項 → 消費者契約法は、同法施行後の2002年度入試以降の
在学契約に適用される。 不返還特約の無効の立証責任は、学生側にある。
入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測される時点より前の時期
に解除しても大学に平均的損害は存在しない。 この時点以後の解除では、
平均的損害を超える部分は存在しない。
この時点とは、原則として4月1日である。 ただし、入学式に無断欠席すると
入学しない取扱いの場合は、入学式の翌日がこの時点となる。
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この最高裁判決により、学納金(授業料及び諸会費等)の返還請求が求めるには、
学生等が3月31日必着で入学辞退の意思表示をすることが必要になりました
(もっとも、専願又は推薦入学の学生は除外されています)。
なお、入学金については、一律に返還されないことになりました。
また、入学手続き要項等に、「入学式に無断欠席した場合は辞退したものと見なす」と
記載されている場合には、学生が入学式に無断欠席すれば、黙示の入学辞退の
意思表示があったことになり、新たな意思表示の通知は要りません。
そこで、意思表示の通知ですが、民法により学校側に通知が送達された時に
効力が発生します。 文書で通知するなら、遅くても31日までに送達となるように郵送する
必要があります。 電話でもいいのですが、後で通知した受けていないといったトラブルを
避ける見地から、配達証明書付き内容証明郵便で通知すべきです。
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なお、平成18年12月28日付で文部科学省高等教育局長が、各国公私立大学等に
上記最高裁判決の遵守を要請する旨の通知を出しています。 → 通知
この最高裁判決は大学短大のみならず、高等専門学校、各種学校の入学辞退者に
適用されますから、大学生でないからと云って全然諦める必要はありません。
要は、3月31日までに入学辞退の通知が届くことです。 4月1日以降は不返還特約も
有効とされるのです。先の最高裁判決でも、830万円の返還が認められた人と614万円の
返還が取消された人がいました。 1日の違いでこんな差が発生しますから、くれぐれも
ご注意を。
□ 結婚式場のキャンセル料
結婚式場の予約は半年位前から予約を取るのが普通ですが、婚約の解消があれば
予約を取消すことになります。 その際のキャンセル料が意外と高いことがあります。
これは、消費者契約法第9条1号の問題でもあります。
例えば、123日前にキャンセルの通知をした場合、見積り額の30%をキャンセル料として
請求された場合はどうでしょうか。