職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第178号
令和4年11月8日
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ ペットの即時取得について
最近では3匹もの犬を連れて散歩する人を見かけるようになりました。
飼主が高齢者になり一人暮らしにでもなったら、3匹の犬の世話は大変です。
そこで世話が出来なくなった人の犬や猫を引取って希望する里親に引渡す
というボランティアの動物保護団体が、結構活動しているようです。
最近、高齢者Aさんからこんな相談がありました。
「 このところ体調が悪いので一時的に愛犬を動物病院に預かって貰いたいと
掛かり付けの獣医に相談したら、満杯なので他の施設に紹介すると云われて、
取りに来た動物保護団体のBに渡し、今は里親に飼われています。
愛犬を返して下さいと云うと、覚えのない所有権放棄宣誓書を盾に犬の所有
権は里親にあると主張して返還に応じようとしません」
このケースでは問題点が二つあります。
1 所有権放棄宣誓書の有効性
実は、Aさんは愛犬を引取りに来たBからこの宣誓書の内容を一切説明されて
ておらず、夜の薄暗い明りの中で小さな字がよく見えなかったこともあり、うっか
り預り証だと思ってサインして引渡していたのです。
Aさんには犬の所有権を放棄する意思など全くなく、一時的預かりを相談した
掛り付けの獣医にも全くそんなことを云ってはいません。
誓約書はAさんの真意(Aさんの体調が回復するまで預かって貰う)を反
映したものではなく、Aさんが同誓約書の内容を事前に知り得ればサイン
をして犬を引渡す筈もないものです。
従って、Aさんのサイン及び犬の引渡しは、勘違い(錯誤)によるもので
あり、Aさんの一時預かりという意思は獣医の先生から伝わっていると思
いAさんがサインをしてイヌを引渡したことに重大な注意義務違反はなか
ったと思われますから、本誓約書はAさんの錯誤に基づ無効です(民法第
95条)。
2 里親は犬を即時取得出来るか
民法195条は家畜以外の動物を善意で入手した飼主の即時取得を規定して
います。
そこで、ペットなどの愛玩動物は判例で家畜に含まれるとされ、 「家畜以外
の動物」とは野生動物のこととされています。
従って、里親は善意(Aさんが犬の所有権を放棄していないことについて知ら
ない)であっても即時取得することはあり得ず、Aさんの返還請求に応じる義務が
あります。
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