職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第176号        
                 令和4年9月13日
     職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
 
                   今回の目次
           □
 カード不正使用が横行のボッタクリバー
              ~もはや民事不介入では済まない~


  ボッタクリバーのやり方が増々酷くなって来ました。

  最近相談のあったAさんの場合、通常の飲食代より10倍以上の法外な金額を請求
され、Aさんの泥酔状態を利用して従業員がAさんの財布からクレジットカードを抜いて
カード決済するという不正使用を行った他、

それでも足りない分を外のATM設置場所まで連れて行ってAさんに暗証番号を入力さ
せカードのキャッシング機能を利用して現金を引出し、飲食代の一部に充てるという不
法行為を従業員は行っていました。

  Aさんは警察に被害届を出そうとしたところ、民事不介入により受理されなかったと
いいますが、これは重大問題です。


  Aさんは飲食代が7万円位になった時に帰ると云ったら、従業員に阻止され監禁状
態に置かれ、何か薬品の入った酒を飲まされたようで急に泥酔状態になりその後の
記憶がないと云います。

  薬品を飲ませて泥酔させ財産を奪う行為は、強盗罪の実行行為であり、警察に
は強盗容疑でこの店を捜査する責任があります。


  次に、民事面では、従業員がAさんの財産を侵害する不法行為を行っており、店の
経営者に損害賠償責任つまり使用者責任があります。

 そして、割賦販売法の関係では、Aさんはクレジット会社の請求に対し支払い停止
の抗弁を主張出来ます。



  民事面の法律関係を、以下に整理して書きます。

1 従業員及び使用者の損害賠償責任

    飲食店の従業員には客のAさんに対し飲食を安全に提供する義務があります。

   然るに、従業員はAさんの財布から勝手にクレジットカードを取り出し、不正使用
  して権利を侵害しており、これは故意又は重過失による不法行為になります。

   よって、従業員のクレジットカード不正使用により、使用者は一次的にAさんに対
  し損害賠償責任を負います(民法第715条)。


2  飲食契約及びクレジットカード決済の無効

    店は実際の飲食代金から懸け離れた法外な金額の請求をしており、飲食契約
 及びクレジットカード決済は公序良俗に反し無効です(民法第90条)。

   これはクレジットカードの不正使用と共に支払停止の抗弁(割賦販売法第30条
 の4)として、クレジット会社に主張出来ます。



3 カード利用規約に関する判例

  「クレジットカード規約にある盗難、詐取、横領又は紛失に係るクレジットカード
   が第三者により不正使用された場合・・・一定の要件の下で会員
の損害をク
   レジットカード会社が補填する」という趣旨の規定は、



  「列挙された事由は例示的なものであって、
   それ以外の態様により会員の正当な意思によることなく占有が移転される
  などしたクレジット
カードが不正使用された場合についても当該規定が適用さ
  れる

                  (東京地裁平成
27810日判決)



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