職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第170号
令和3年12月 1日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ 火災保険金請求代行サービスについて
最近、ネット上で「火災保険金請求代行サービス」に関する広告をよく見かけます。
築20年以上の一戸建であれば、請求者の8割に風害による破損等で火災保険が
適用されており、貰えた火災保険金は150円~70万円位になるなどと、請求代行業者
は勧誘しています。
私の家は築25年の一戸建で、3年前に大型台風が2度も来ており、屋根に破損が
あるかもしれないと思い、ダメ元で請求代行を依頼して見ました。
請求代行業者と提携するリフォーム業者が出張して来ると、小型ドローンで屋根
や壁などを調査し、損害の査定額を35万円と出しました。
私は火災保険代理店に電話して火災保険金請求書を取り寄せ、署名・押印の上
リフォーム業者に送ると、必要書類を添付して火災保険会社に送ってくれました。
しかし、火災保険会社から、「破損箇所は経年劣化によるもので火災保険の適
用外です」との回答が届いたので、リフォーム業者に電話したところ、火災保険会社
とやりあったが回答を変えるに至らなかったとのことです。
請求代行業者との契約では、「報酬は貰えた保険金額の40%とし、貰えなかった
場合は一切の費用を請求しない」という内容になっていましたから、私には一切の
負担も発生していません。
実は、この「火災保険金請求代行」という法律事務は、目新しいものではなく、
昔は「火災保険スキーム」と呼ばれていたもので、代行業者は下りた火災保険金
の30~40%を成功報酬として受け取っていました。
ところで、最近、この「火災保険スキーム」で1億円の報酬を稼いでいたリフォー
ム会社と不動産会社の社長が、弁護士法第72条違反の疑いで逮捕されました。
弁護士法第72条では、弁護士の資格を持たない者が報酬を得る目的で法律
事件に関する法律事務を業として取り扱うことは出来ないと規定しています。
この「法律事件に関する法律事務」の解釈は、訴訟案件だけでなく、裁判所で
の攻防が将来的に予想されるような紛争に関する法律事務も含むが、紛争性の
ない事案は含まれないというのが通説・判例です。
従って、「火災保険スキーム」は、裁判所での攻防が将来的に予想されるまでに
紛争が熟している事案ならば違法であるが、それ以外は違法ではないということに
なります。
先の事案では裁判所での攻防が将来的に予想される事案だったから逮捕に至
ったと思われますが、争いの具体的内容がよく分かりません。
請求された火災保険会社の方でも現場を調査して損害の鑑定をする筈であり、
にも拘わらず2億円以上の火災保険金が支払われていたことの裏に何があったの
かです。
今考えられることは、非弁の他に請求代行業者に虚偽の不正請求(故意による
破損を隠して申告したなど)があって、それが詐欺罪容疑の可能性があるのかもし
れません。
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