職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第168号
               令和3年10月22日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                  今回の目次
           □
 物販副業ビジネスには絶対乗るな


  最近、知人から副業で儲けないかと紹介されて大損している物販副業ビジネスに
こんなのがあります。

 『詐欺師Aは「購入代金+転売利益を、翌月のクレジット引落日前までに振り込みま
す」と一般消費者Bを勧誘し、Bはロレックスなどの高級ブランド品をクレジットカードで
複数個買い、BはAに商品を引渡す。

しかし、Aからの振込は初めだけか又は初めから全くなく、やがてAと連絡が取れなく
なり、Bは騙されたと気づく』 


  Aの行為はBを転売利益が入ると信じさせ、カード決済させた商品を騙し取った詐欺
行為に見えますが、
Aの刑事責任と、Bのクレジット責任の免責を主張する上で厄介な点があるのです。


1 まず、Bは支払い停止の抗弁権を使えるか

   支払い停止の抗弁権とは、販売店に対して購入代金の支払いを拒める場合には
 クレジット会社からのクレジット代金の請求に対しても拒めるという権利です。

    しかし、販売店はBとの適正な売買契約に基づき商品を販売しかつ引渡しています。
 つまり、販売店はBに対し不実の告知など不正な行為を一切行っていないのみならず、
 債務不履行もないのですから、
 支払い停止の抗弁事由に該当する事実が存在しません。

   そもそも、Bがロレックスを買ったのは、自己消費の為ではなく、Aに渡して転売利益を
 得る為、つまり営利目的の為です。

   これは商行為になりますから、支払い停止の抗弁の適用除外とされる場合に該当し
 ます。
  
2  次に、Aを詐欺罪で告訴出来るか

    購入代金に転売利益を付加して返還するというAとB間の契約に基づき、BはAに
  商品を引き渡しており、Aから振込がないのは、債務不履行に過ぎないのではないか。

   Aを詐欺罪で告訴するには、Aは最初からBを騙す意思があったこと、つまり振込を
  初めからする意思がないのに、Bを振込の意思があると誤信させ、Bとそのような契約
 を結んで商品を騙取したことを立証する必要があるのです。



  ところで、先日の新聞に西山ファームの元幹部5人が詐欺容疑で逮捕されたニュース
が載っていました。

  この事件は「西山ファームの農産物をクレジット決済で購入すると、購入代金に1.5~
3%を上乗せして返金する」と勧誘して、実際には返金がなかったというもので、被害者は
1500人、被害額は20億円にも上ります。

 上記の物販副業ビジネスとよく似ている事件です。

  警察は今年の5月頃から西山フォームの事務所を家宅捜査して実態の解明を進めた
結果、詐欺罪の立証が可能となる証拠が見つかったのです。



  物販副業ビジネスはこのように刑事罰が可能になる場合があるとしても、被害者には
高額なクレジット債務が残ります。 
 
  今のところ、自己破産しか救済方法が見当たらないようですから、
転売利益の還元などという旨い話には絶対乗らないよう気を付けるしかありません。

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