職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第163号
               令和3年3月16日発行
      職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                  今回の目次
            □
 消費者保護規定と信義則


  消費者保護規定とは、クーリングオフ、支払停止の抗弁、不実の告知等による個別
クレジット契約の取消、次々販売や過量販売による個別クレジット契約の解除・・・・
などを規定した法律の条項のことです。

  つまり、事業者(販売業者)と知識や情報や交渉力で対等な関係にない消費者が訪問
販売等の6類型で事業者の不適切な勧誘により誤認して不本意な契約を締結した場合
に、消費者保護の見地から消費者の立証責任を軽減して契約又は申込の解消を可能
にしてしているのです。


  ただ、通称トライクレンタルオーナー商法事件では、消費者がクレジット会社に対
する誠実対応義務に違反していると認定されて、信義則により支払停止の抗弁が主張
出来ないとされました(東京簡易裁判所平成31年3月18日判決)。

  本判決では、クレジット会社からの電話調査の際、実際は「レンタルに使用する目
的」だったのに、販売店に指示されるまま「自己使用目的です」と回答したことが虚偽
回答、つまり欺罔行為に当たるとされ、たとえ納車未了でも支払停止の抗弁は認めら
れないとされたのです。

  誠実対応義務は法律の条文に明記されていません。
しかし、平成21年12月1日施行の改正割賦販売法でクレジット会社の加盟店調査管理
義務が規定されたことに呼応して、その実効性を担保する見地から消費者には誠実対
応義務が信義則上あるとされたのです。


  ところで、最近、悪徳訪問販売業者に「モニター契約である。 クレジット代金の
負担は要らない。 何時でもキャンセル出来る」と騙されて申込んだ消費者に対し、
クレジット会社の弁護士から信義則により上記の消費者保護規定の適用を拒む主張
がなされることがあります。

  しかし、販売業者が破産の引延しの為の立替金目的から消費者を道具として利用
した場合に、安易に信義則に基づく適用拒否が認められるとすれば、取引の安全を
犠牲にして販売業者と対等な関係にない消費者の保護を図ったこれらの規定の趣旨
に反する恐れがあります。

 判例でも、信義則による支払停止の抗弁の拒否は、消費者に特段の事情がある
場合に限りるとし、特段の事情とは

 「本件モニター商法が公序良俗に反するものであることを知り、かつ、クレジ
ット契約の不正利用によって信販会社
に損害を及ぼすことを認識しながら、
自ら積極的にこれに加担したというような背信的事情がある場合をいう」
(静岡地裁松支部平成17年7月11日判決)と判示しています。


※ ご感想・ご意見をお寄せ下さい。
      →メールアドレス:redume@jcom.home.ne.jp


    発行者  :  行政書士 田中 明 事務所
  〒239-0822  神奈川県横須賀市浦賀5丁目42番11号    
                   TEL・FAX 046-843-6976 
    マガジン説明用Webページ : http://lantana.parfe.jp/break1.html
     内容証明郵便でブレイク! : http://lantana.parfe.jp/   
    インターネット法務支援室  : http://lantana.parfe.jp/seotope.html
-
------------------------------------------------------------------
  このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して発行
 しています。解除は http://www.mag2.com/m/0000113282.htm