職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第160号
               令和2年9月16日発行
      職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                   今回の目次
             □
 私文書の有効要件と印鑑


  契約書など私文書に押印をする意味について書きます。
クレジット契約書などの契約書に署名と押印をするのは、裁判になった時に証拠と
して提出する為です。

  つまり、クレジット契約書に本人の押印があれば、クレジット契約書に本人の意思
に基づく押印があるとされて、クレジット契約書が真正に成立したものと推定される
からです(民事訴訟法第228条第4項)。

  不動産売買など高額な契約書には印鑑証明書を添付しますが、これは本人の実
印であることの立証を容易にする為です。
  
 このように印鑑が真正であるか否かは裁判の行方を左右する大きな鍵を握ってい
るのです。
 
 印鑑と文書の真正に関し、最高裁昭和39年5月12日判決が「2段の推定」という法
理を提示しています。

 「文書中の印影が、本人または代理人の印章によって顕出された事実が確定され
  た
場合、反証がない限りその印影は本人又は代理人の意思に基づいて成立した
  のと推定するのが相当
であり、右推定がなされた結果、当該文書は民訴326条
  にいう「本人又はその代理人の(中略)捺印あるとき」の要件を充たし、
その全体が
  真正
に成立したものと推定されることとなるのである」

 
つまり、「2段の推定」とは、1段で事実上の推定がなされ、2段では事実上の推定の
結果として民訴法第228条(旧民訴法326条)に基づく法律上の推定がなされるというこ
とです。


 通常は請求する方に立証責任がありますが、印鑑と文書の真正に関しては、否認
する側に立証責任が転換されているのです。

  尤も、自分の印鑑でないとの被告の立証は容易ですから、立証されると立証責任の
転換は機能しなくなり、原告が押印の代理権の授与などを立証しない限り勝てなくなり
ます。

  このため、銀行などの金融実務では面前自署を鉄則としています。 本人と面談し
て本人に署名させ押印させれば、2段の推定により裁判でも断然優位になるからです。

  ただし、クレジット業界では、架電による意思確認を行っています。
これは件数が膨大で申込者と中々面談出来ないという事情から長年の慣行として行っ
て来たもので、最終的意思確認はやはり個別クレジット契約書に本人の署名と押印が
あるという事実確認によっています。

  しかし、この最終的意思確認をクレジット会社が漫然と行っている場合もあり、そこ
に悪徳加盟店が偽造クレジット契約書が持ち込む余地が生れます。

 関東で数年前に加盟店によるモニター商法なる詐欺商法で100人以上の被害者が
出ましたが、偽造した客の印鑑を使用した真正でないクレジット契約書が相当数見付か
っています。


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