職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第155号
             令和元年9月23日発行
      職人型内容証明仕掛人が一発解決を目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                 今回の目次
            □
 モニター商法の終焉


 
 モニター商法というのは、「費用負担はありません」とか「クレジット代金は弊社で
負担致しますから」と勧誘し、消費者を本当にそうなのだと誤信させて同じ契約者と
何本もの個別クレジット契約を締結させる詐欺商法のことです。

  販売店がモニター商法などという詐欺商法に嵌るのは、自転車操業に陥った販
売店が少しでも倒産を先送りしようとして、クレジット会社から得た立替金を一時的
な資金繰りに充てようとする為です。

  モニター商法が現れる前は、名義貸商法がこの手の詐欺商法の主流でした。
「費用負担はありません」からと懇意の顧客から名義を借りて個別クレジット契約を
締結するものです。

  しかし、名義貸商法は平成に入ってから騙された消費者を救済する判決が出る
ようになり、勝てなくなった販売店はモニター商法にシフトしていったのです。


  最近の大きなモニター商法の事件としては、エフォートカンパニーが小中学生用
教材のモニター商法により200人以上の被害者を出して倒産(平成28年5月25日に
東京地裁で破産開始手続決定)した事件があります。

  その後、被害対策弁護団が結成され、被害者108名は平成28年6月15日付で東京
地裁に債務不存在確認等請求の集団訴訟を提起し、3年経過した今でもまだ争って
います。


  ところで、訴訟がこんなに拗れるのは、消費者が契約した時点で個別クレジット契
約を取消すことが出来る法律がなかったからです。

  しかし、現在では平成29年6月3日施行の消費者契約法第4条5項3号により個別ク
レジット契約の取消が可能になっています。

  こうなった経緯を少し述べます。

  「費用負担はありません」とか「クレジット代金は弊社で負担致しますから」を信用
して騙された場合、相手方に「不実の告知」があったことになりますが、告知の内容
は契約内容に関するものではなく、契約締結の前提となる重要事項(動機に関す
る事項)に関する不実の告知
です。

  動機に関する不実の告知で取消が可能になったのは、実に最近のことなのです。
この新消費者契約法により、従来から問題になっていた「シロアリ商法(点検商法)」
「原野商法」「悪徳リース提携商法」など動機に関する不実の告知による売買契約又は
個別クレジット契約が取消の対象になります。

  消費者契約法の改正を促したのは少し前に出た最高裁判決でした。
本判決では、動機に関する不実の告知も重要事項に係る不実の告知に含まれるとして、
割賦販売法第35条3の13第1項6号に基づく個別クレジット契約の取消を認めたのです
(最高裁平成29年2月21日判決)。

  消費者契約法の改正が先になされたのは、それなりの理由があります。
消費者契約法第5条により、「受託者等」の不実の告知にも適用される為、適用の範囲
が広くそれだけ消費者保護に厚い法律だからです。

 つまり、個別クレジット契約の締結実務の一部を個別クレジット会社から委託されて
いる販売店のみならず、その販売店から再委託された第三者の不実の告知にも適用
されるからです。

 逆に、割賦販売法では従来から「受託者等」による不実の告知には適用されません。 
つまり、これを含めた改正がなされない限り、消費者契約法とのバランスが取れず、
意味のない改正になるからです。


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