職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第152号
                     平成31年4月13日発行
           職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                        今回の目次
               □
  媒介の委託と個別クレジット契約の取消



  消費者が個別クレジット契約を直接取消出来るようになったのは、近年のことです。
それまでは、販売契約を解除してクレジット会社に支払停止の抗弁を主張するしかなかったの
です。

  現在では、販売店に不実の告知等の不適切な勧誘があれば、割賦販売法(ただし、特商法上
の5取引類型に限る)により個別クレジット契約を直接取消せる他、既払クレジット代金の返還請
求も出来ます。


  消費者契約法では、事業者のみならず、事業者から媒介の委託を受けた第三者(受託者
等という)が
不実の告知等をした場合にも、個別クレジット契約の取消が出来ます(同法第5条)。

  例えば、クレジット会社から加盟店契約に基づきクレジット契約の締結業務の一部を委託され
ている販売店は、受託者等の典型です。 
 
  その他としては、保険代理店、携帯電話販売店、不動産仲介業者、旅行代理店などが該当し
ます。

  更に、クレジット会社の承諾なしに販売店から再委託された者又は事業者(クレジット会社
の加盟店ではない)も、受託者等に含まれます

「販売店はクレジット契約の締結についての媒介業務を委託することは、クレジット会社の承認
を得ることなく、両者間の契約により可能であり、・・・・再委託された者は消費者契約法第5条
にいう受託者等に該当する
」(大津地方裁判所長浜支部平成21年10月2日判決)。


  さて、昨年、「クレジット代金を毎月振込む」とのレンタルオーナー商法の勧誘を信じて中古トラ
イクの個別クレジット契約を締結した500人位が、トライクの納車未了にも拘らず最終的に120万
円~180万円位の残債務を負わされるという事件(裁判でもクレジット会社が勝訴)が発生しました。

  名義貸しと似たところがある事案ですが、販売店と外部のO氏が結託して勧誘行為を専らO氏
に委ねているところが新しいのです。

  最高裁平成29年2月21日判決により、契約締結の動機に関する重要な事項(「クレジット代金を
毎月振込む」はこれに該当する)で不実の告知があれば、割賦販売法第35条3の13第1項6号に
基づき個別クレジット契約の取消が出来ます。

  ただし、本条の適用範囲は販売店の勧誘行為に限られ、外部のO氏の勧誘行為は適用外に
なります。

  最後の砦は「受託者等」の規定がある消費者契約法第5条です。
平成29年6月3日施行の改正消費者契約法により、動機に関する事項も取消の対象になって
います。

  しかし、ここでも救済が得られませんでした。
個別クレジット契約の締結が平成29年2月21日判決の前だったからです。

また、仮に本判決の後に締結していたとしても、外部のO氏が「受託者等」に該当するかという
問題があります。

 不適切な勧誘行為はますます巧妙化しています。

これに対応するには、割賦販売法に消費者契約法第5条のような条文が必要と考えます。

その際、「受託者等」の要件は緩くし、適用を5取引類型に限定せず通信販売を含める法改正
を要望する次第です。


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