職人型内容証明仕掛人の方法論 ! 第141号
平成29年10月10日発行
職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。
今回の目次
□ かって消費者金融、今や銀行カードローン
銀行が低金利で利ザヤが稼げない中にあって、銀行カードローンは拡大の一途を辿っており、銀行
全体の融資残高(平成29年3月)が5兆4千億円となりました。
一方、消費者金融の方は、10年前には融資残高が20.9兆円あったのが今や約4兆円と四分の一以
下に減り、いつの間にか銀行カードローンに逆転されてしまっています。
消費者金融が残高を減らして行った理由は簡単です。
平成18年(2006年)12月に改正貸金業法が成立して上限金利が利息制限法の上限金利まで下げら
れたこと、次に平成22年(2010年)6月から総量規制(貸付残高を年収の三分の一までとする)が実施さ
れたことです。
これにより、貸金業者による過剰融資が抑制されて年々残高を減らして行くことになったのです。
今では夢物語のような消費者金融の最盛期、そして平成18年の最高裁判決を契機とする凋落の始
まり、この劇的な変動を知る人は少なくなっていますので少し書きます。
最高裁判決が出るまでは、金利が27%台という高利なのにニーズは鰻上りにあり、大手になると融
資残高が1兆円を少し超える程度でも経常利益が1千億円も出る会社があったのです。
これは単純に計算しても不思議なことでも何でもありません。
年27%で貸せば、1兆円の売上に対し年2700億円の利益が出て、経費が1700億円掛ったとすれば経
常利益は1千億円になります。
その頃、銀行が個人向小口融資(リテール)に全く力を入れていなかったのに対して、消費者金融は
サラリーマンであれば健康保険証を提示するだけでローンカードが発行され50万円をその日に受取れ
るという商売をやっていました。
そして、返済能力のある優良顧客には貸付枠を100万円~200万円以上に増額して行ったのです。
ローンカード1枚でATMで借りたり返したりが出来、顔を見られることもなく質屋とか他の金融と比
べても格段に利便性のある金融スタイルだったのです。
我が世の春を謳歌していた消費者金融に激震が走ったのが、平成18年1月13日の最高裁判決で
した。
この判決により利息制限法の上限を超えて支払った金利は無効、つまり過払いとなり、高金利27%の
拠り所であった貸金業法第43条の「みなし弁済規定」は空文化されたのです。
それ以後、過払金返還請求の嵐が全国で巻き起こり、今日まで業界全体で返還した過払金の総
額は6兆円になると云います。
消費者金融会社の内部では凄まじいリストラがなされ、大手のT社は会社更生法を申請しましたし、
遣っていけなくなった中小業者はどんどん潰れて行き、業者の数は往時の六分の一にまで減少して
います。
大手消費者金融会社の生き残り策は、銀行の傘下に入ることでした。
大手のA社などは社員を6500人から1500人に減らし、三菱UFJフィナンシャルグループの子会社に
なりました。
まとめになります。
改正貸金業法の狙いは、消費者金融を潰して銀行の下に再編することにあったと云う人がいます
が、本当にそうだと思います。
消費者金融は利息制限法の上限を超えた金利(27%と18%の差額9%、グレーゾーン金利という)が入
らなくなったら利益が殆ど残らない経営状態たったのであり、過剰融資の拡大が利益拡大の唯一の
方法だったのです。
その一方で多重債務者を生み、過酷な催促・取立てが社会問題になっていました。
消費者金融が最高益を出していた時、裏では自己破産や多重債務者がピークに達していたのです。
そんな時代の徒花のような消費者金融が残したものが二つあります。
一つはサラリーマン層における小口かつ高金利ローンの膨大な潜在的ニーズを発見したことであり、
もう一つは質屋などと比較にならない利便性とスピード感のある消費者金融スタイル(30日間無利息融
資、簡易審査によるカード発行、ATMを利用した即日融資とリボ払い返済など)を確立したことです。
銀行カードローンにもこのような金融スタイルはそっくり取り込まれています。
尤も、銀行はローンカードの審査とカード発行と融資をするだけで、督促・回収業務は大手消費者金融
会社や大手信販会社に委託しています。
督促・回収業務のような奴隷的業務と云われる位にきつく地味な業務を、銀行は行員に一切やらせ
ず、傘下の金融関連会社に丸投げしているのです。
銀行カードローンの金利は平均15%程度です。 5兆4千億円を年15%で貸すと8100億円の利益を
生みます。
もしこの額を年2%の住宅ローンに使ったとしても利益は1080億円ですから、約7倍の利益率です。
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