職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第139号
                     平成29年7月11日発行
           職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                       今回の目次
                □ 
改正民法でどう変わるか その2
                    時効完成の猶予・更新の制度




  今の民法は明治29年(1896年)に成立・公布され、明治31年(1898年)7月16日に施行されたもの
です。  しかし、契約法の分野はほとんど改正されることなく現在に至っていました。

  今年の本国会で契約法に関する大改正が成立しました。  施行は平成31年頃(2019年)とされ
ています。  今日は大きく変わる時効制度を整理致しました。


1 協議を行う旨の合意による時効完成猶予の制度が創設されました。

   時効の完成が近づいた債権に関し、当事者が協議を行う旨の合意を書面により取り交わ
 せば
時効の完成が一定期間猶予されることになりました。

   この結果、これまでなら債権者は時効中断の為に提訴する必要がありましたが、協議中はそ
 の必要がなくなり経費削減に繋がります。

   猶予期間は、協議を行う旨の合意があった時から1年、1年を満たない期間を定めた時はそ
 の期間、また、協議の続行を拒否する旨の書面による通知をした時から6か月のいずれかを
 経過するまでの間とされました。

   猶予期間内に協議が整わない場合でも再度の協議を行う旨の合意ができますが、時効の
 完成が猶予されなかったとすれば時効期間が完成すべき時から通じて5年を超えることは出来
 ないとされました。

   つまり、協議を行う旨の合意を書面にすることでまず1年間が猶予され、その期間に協議が
 成立しなくても再度の協議の合意を繰り返して本来時効が完成する時から最長5年間は猶予
 されることになります。



2  裁判上の請求が後で取下げられた場合でも、6箇月間は時効完成が猶予され
 ることになりました。


   判例で認められていた「裁判上の催告」(これも一種の裁判上の請求と考えられていま
 した)という
考え方が、時効完成猶予事由として条文に取り込まれました



   旧民法では訴訟の申立や破産申立は裁判上の請求として時効中断理由となりしたが、取下
 げられると時効中断効は生じませんでした。
 
   しかし、判例では債権者による破産申立がされた後に取下げられた場合、申立手続の中
 で自らの権利を主張していたとして「裁判上の催告」にあたるとされていました。

   どういうことかと云いますと、催告(権利行使の意思が表示されていた)としての効力は消滅せず、
 取下げ後6か月以内に他の強力な中断事由に訴えれば時効中断効が生ずるとしたのです。

   また、訴訟係属中に留置権を主張したことが、判例で「裁判上の催告」にあたるとされていまし
 た。


  それが改正民法第147条では、次のように定められています。

 1項   次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の
    効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、
   その終了の時から6箇月を経過する
)までの間は、時効は完成しない。

     イ 裁判上の請求    ロ 支払督促    
     ハ 民事訴訟法第275条1項の和解又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停      
     ニ 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

 2項   前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利を
    確定した
ときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を
    始める


  その他、強制執行等、仮差押え・仮処分も同じように時効完成の猶予事由とされ、手続き終了から
 6箇月は時効が完成しないとしています。



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