職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第106号
               平成25年4月27日発行
    職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                  今回の目次
          □ 無権限者により署名・押印がなされた連帯保証契約



  連帯保証契約は連帯保証人と債権者との合意により成立します。
その連帯保証人は債権者から付けるように云われて債務者が探して来るのが一般的
です。
 
  そこで、債権者は連帯保証人に保証意思を確認することが不可欠になりますが、
クレジット契約の連帯保証人の場合は、クレジット会社が連帯保証人に架電して意思の
確認を行うことが慣行になっています。  

  しかし、架電は意思確認の補助的手段の一つに過ぎず、最終的な意思確認はクレ
ジット契約書の連帯保証人欄に連帯保証人の署名・捺印を貰うことで完了すると考えら
れます。

  と云うのは、連帯保証人欄に本人から署名・押印を貰わないでいれば、後になって
連帯保証人から連帯保証契約の無効を主張される危険があるからです。

 
つまり、もし本人が誰にも署名・押印の代行を委任していないとしたら、本人は無権
代理による連帯保証契約の無効を主張出来る筈だからです(民法第113条1項)。

  しかし、クレジット会社は、連帯保証人への架電時に肯定的回答があったとして、
連帯保証人欄に本人以外の者が署名・押印しても無権代理にはならず、連帯保証契約
は有効に成立していると主張して来ることがあります。

  どうもこれが今までのクレジット会社の契約実務の慣行のようで、必ずしも連帯保証人
欄に本人による署名・押印を厳格に要求していなかったようなのです。

  しかし、連帯保証人は自署でないことや自分の印鑑でないことを立証することは容易
であるのに対し、逆に委任状でもない限り債権者が代筆権限を立証することはまず困難
です。

 その意味で本人の面前で自署と押印を貰うという金融実務の鉄則は、クレジットの契約
実務にあっても少しも変わっていないのです。

  上記クレジット会社の契約実務の慣行下では、連帯保証人から何時無権代理を主張
されるか分からないというリスクを常に負っていたのであって、ただ連帯保証契約を無権
代理により無効とする判決がなかっただけなのかもしれません。

  最近、そのような判決を送付してくれた人がいました。

この判決は確定しておりますので、内容を紹介致します。

<事例> 車のクレジット契約書の連帯保証人(被告)欄の署名と印鑑が、連帯保証人のもの
 でないと主張したのに対し、クレジット会社(原告)は連帯保証人から意思確認の電話で
 肯定的回答を得たと主張した事案で、裁判所は連帯保証契約の不成立を認定。

 「  本件全証拠を検討しても、
被告の自署によることや、印影が被告の印章によること
  を
認めるに足りる証拠はなく、・・・・かえって、・・・の被告の筆跡を対照すると、
  連帯保証人欄の被告の氏名は被告の自署によらないと認められるから、

  上記被告による
肯定的回答の事実から原告の上記主張事実を推認するには足りず、
  
他に同事実を認めるに足りる証拠はない

  ( 東京地裁平成24年4月26日判決、平成23年(ワ))第23878号立替金請求事件 )   


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    (最高裁昭和54年12月14日判決)。