第35条の3の60第2項第1号により個別信用あっせんに係る契約を
「営業の為若しくは営業として」締結する場合には、
支払い停止の抗弁が適用除外されます。


 「営業の為若しくは営業として」 に関する公権的解釈は、以下の通りです。

平成20 年版 割賦販売法の解説」(経済産業省商務情報政策局取引信用課編、日本
クレジット協会、
2009)83ページ以下に割賦販売法8条の「営業のために若しく
は営業として」に関する公権的解釈が記載されており、割賦販売法
35条の360
解釈に関し「第
1については、第81と同様の趣旨であるため、同条の
解説を参照のこと」とあります。  

 よって、割賦販売法8条の「営業のために若しくは営業として」に関する公権的解釈
の箇所を以下に抜粋して掲載致します。

「 第1号は、本法が一般消費者を保護するための法律であるので、購入者等が営業の
ために又は営業として締結する契約に係るものには適用しない旨の規定である。   
本号は、適用対象を商行為に限定するものではなく、事業・職務の用に供するために
購入し、又は役務の提供を受ける場合は基本的に本号に該当する。

「営業のために若しくは営業として」とは、割賦販売が、その相手方にとって、営利
の目的をもって、かつ事業のために又は事業の一環として行われることを意味すると
解される。  

  営利の目的は、株式会社等における株主・持分権者への利益や残余財産の分配
が可能であることを意味するものではなく、利益をあげる目的を有するかにより判断
され、内心の意図によってではなく、客観的に判断されるべき性質のものである。   

  また、事業性については、反復・継続して行う意思をもって行為が行われるかによ
り判断されるものであって、こちらも内心の意図によってではなく、客観的に判断さ
れるべき性質のものである。     
たとえば、株式会社が事業のためにする行為又は事業として行う行為については
「営業のために若しくは営業として」に該当するものと考えられる(会社法5条参照)。

 
 また、個人であっても、個人事業主の立場で、商品を購入し又は役務の提供を受け
る場合には、「営業のために若しくは営業として」に該当するものと考えられる。    
個人事業主への該当性の判断にあたっては、個人事業主としての確定申告の有無も
重要な判断材料の一つとなるであろう。

  一方、個人が、営利の目的以外の目的(例えばボランティア事業・学術事業等)で、
事業を継続的に行っているような場合において、商品を購入し又は役務の提供をする
ときは、事業性の要件は満たしていたとしても、営利性の要件は満たさないと解され
るので、「営業のために若しくは営業として」に該当しないと解される。     

また、個人事業主としてではなく、消費者として、自家消費等の目的で、商品を購入
したり,役務の提供を受ける場合には、「営業のために若しくは営業として」に該当し
ないであろう。
  なお、公益法人などの非営利法人については、基本的に「営業のために若しくは営
業として」には該当しないものと考えられるが、いわゆる収益事業のために又は収益
事業の一環としてなされる場合は、例外的に「営業のために若しくは営業として」に
該当する場合もあり得るであろう。
  業務性・営利性の判断は、取引毎になされることとなり、該当する取引と該当しな
い取引とを区別できない場合には、基本的に、割賦販売法の規定の適用のあるもの
として取り扱うことが期待される。」
 

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