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     < エッセー>  家系図を作る意味


  巻物家系図という言葉を聞いたことのある人はそんなに多くはないと思います。
何かとても古風な響きのする言葉です。  普段は箪笥の奥に大切に仕舞われていて、
お盆の時とかに恐る恐る出して来て、家で眺めるというようなイメージがないでもあり
ません。   自分の帰属する「家」というものに格別の意味があった時代の旧家だった
ら、あっても不思議ではない光景です。   それくらい昔の人にとって自分の「家」は重
いものでした。
  しかし、そんな家制度もとっくの昔になくなり今は個人主義の時代です。  憲法でも、
門地(家柄)で差別してはならないとしています。  ですから、家柄なんてことは意味を
持たない過去のものになっています。
  じゃあ、今家系図を作る意味って、何なのでしょう・・・・?
それはある感情に立ち返るということだと私は思います。   ある感情とは先祖に対す
る自然な畏敬の感情です。   先祖の人々は今よりもっともっと困難な時代を生き抜い
て来ました。  私達はそおいうバイタリティを持った先祖達の末裔なのです。
  もし今活力や自信を見失っている人がいるとしたら、是非先祖の歴史を辿って見るべ
きです。   耐え難きを耐えて生きて来た先祖の生きざまを知って、勇気づけられない
人はいないはずです。
                       
  その意味では家系図とは今ある自分が何者であるのかを見詰める為に作るのです。
昔のようには「家」が重さを持たなくなった今でも、「家」が自分を生み育ててくれた懐か
しい場所であることに変わりはありません。   そおいう「家」の歴史を自分史の一部
として眺め記録すること、それが家系図を作るということなのだと思います。
  家系図を作ることもま、歴史を残すことに他なりません。  それが、子孫への最高の
贈り物になることは間違いありません。
  明治の思想家内村鑑三は、「心掛け次第で誰にでも出来て、益にこそなれ損になら
ないことは、高尚にして勇ましい自分の生きざまを遺すことだ」といいました。
                       「後世への最大遺物」より
  何が高尚にして勇ましいかは人によってそれぞれ違うでしょう。   しかし、それは
どんな人にで、ひとつやふたつ見つかるものです。   どんな平凡な人生の中にも、高
尚で勇ましい生き方はあります。  ですから、どんなことでも歴史になるのです。
いつの日かずっと後の子孫の誰かが貴方の生きざまに勇気づけられることだってきっと
あるはずです。
  自分のルーツを知りたいという欲求は誰にでもある自然な欲求です。  人は苦難に
直面した時その欲求が強まるといわれます。   今、日本はバブル崩壊というこれまで
に経験したことのない経済状況に、直面しています。
  この10年で国民が蒙った資産の目減りは、太平洋戦争終局時の状況に匹敵すると
分析する人もいます。   しかし、先祖達の苦難は今に比べたら物質的にも精神的にも
比較にならない程深刻だったと思います。  そんな苦難を乗り越えて来た先祖の勇気、
知恵を子孫へも伝えたいものです。  そおいう先祖探しの旅に貴方も出掛けて見ませ
んか。




                  行政書士田中 明事務所