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     < エッセー>  「国家の品格」の読み方



  平成18年の大ベストセラーは藤原正彦氏の「国家の品格」という本でした。  大き
な書店に行くと大抵入口に山積みされていました。  タイトルは決して成功していると
は思いません。  私も正直なぜこんな固いタイトルの本がそんなに売れるのかと思っ
たものです。  最初は図書館から借りて読めばいいと思ったくらいです。  しかし、
横須賀中央図書館も予約が一杯で何時借りれるのか分かりませんでした。 相当人気
があるらしいということが分って来て、私も遂に買わざるを得なくなったという次第です。
  以下は、「国家の品格」についての私の勝手な感想です。
この本は著者の講演の書き下ろしらしいがエセー風で非常に読み易い。  語り口が実
にストレートで読む者の琴線に触れるような文章が随所に散りばめられており、いつの
間にか藤原氏の論調に引き込まれてしまい読むのが止められなくなってしまいます。
  もっとも、藤原氏の意見に全て賛成というわけでもない。  しかし、独特の藤原正彦
ワールドというべきものがあって、多分引き込まれた日本人の多くは決して居心地の悪
くない体験をしたのではと思われます。
    
  要するにいい意味で論理が明快かつ単純であり読んでいて難解でないのである。
最近では養老孟司氏の「バカの壁」がベストセラーになっています。  しかし、この本は
平易であるものの謎解きのようなところが養老ワールドにはあります。  養老氏が何を
言いたいのかを読者で考えさせるところがある。  それに対して「国家の品格」の方は、
ずっと明解である。
  さていよいよ中身です。  藤原氏は、論理よりも重要なものは情緒であると言います。 
そして、新渡戸が語る武士道こそ最大の価値だというのです。
  私は新渡戸の大ファンなので全く異論はありません。   しかし、最近まで武士道とい
うのはそれほど話題になることはありませんでした。   それがなぜ今急にそうなのか。
そして、どうしてこんなに多くの日本人の興味を引くのか・・・・・。
  結局、勝ち組負け組とか何となく先の見えない閉塞感の中にあって、武士道というのは
古くて新しい感覚として映るのでしょう。
  西洋哲学の世界でも、伝統的な思想が行き詰まっているといいます。  そおいう流れ
の中で、武士道という日本の形、情緒といったものがどのような役割を果たせるか、それ
が試されているのかもしれません。  その前触れのような本が「国家の品格」だと、私は
ひそかに思ったりしたのでした。




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