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    < エッセー>  電機業界の再生策
  
  最近、私はキャノンのプリンターをヤマダ電機で買いましたが価格は7280円でした。  
消費者にとっては嬉しいデフレが電機業界に大打撃を与えています。  平成21年3
月期の電機大手9社の最終利益合計は1兆9100億円の赤字で、黒字だったのは三
菱電機(100億円)の1社のみという惨憺たる状況です。  昨年度の落込みの最大要
因は、薄型テレビと半導体などの主力商品が国際競争力を失ったことです。
 日本には総合電機メーカーが大手で11社もあります。  平成19年度の売上高合計
は50兆円で従業員は160万人ですが、純利益の合計は3000億円に過ぎません。  
これは韓国のサムソン電子1社の半分に満たないのです。
  電機は自動車と並んで戦後の日本経済を牽引して来た機関車でしたが、日本の電
機メーカーが世界を席巻していたのは1980年代までです。   1990年代に市場が成
熟して来ると欧米や韓国では選択と集中が進み、国内の大手は1社〜2社に集約され
て行きますが、日本だけは総合電機メーカー大手11社体制が維持されて来たのです。
  しかし、今や世界でトップでなければ勝ち組とは云えない状況になりました。 日本
の電機業界が総負け組状態から復活するには、
もはや大再編しかないという岐路に立たされているのです。
 
  パナソニックが三洋電機株式を5600億円で買取って子会社化しましたが、これでパ
ナソニックの売上高は11兆円となり日立を越えてトップとなります。   三洋電機はリチ
ウムイオン電池のトップ企業(世界シェアの34%)です。   リチウムイオン電池は携帯電
話やノートパソコンに搭載されていますが、今後は電気自動車用電池の主流になると
云われています。  パナソニックはこれまでのシェア9%から一気に43%へ躍進し絶対優
位に立つことになります。
  また、パナソニックが持っていない三洋電機の太陽電池事業を取り込むことでトータ
ルな省エネ商品を提供出来ることになります。  太陽電池も市場の急拡大が見込まれ
る戦略商品です。  パナソニックが先鞭を付けた事業統合は、選択と集中による業界
大再編の幕開けを予感させます。




                  行政書士田中 明事務所