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    < エッセー> JAL経営破綻の真実

 
JALは2008年秋からの金融危機と新型インフルエンザの流行で利用客が激減して、
前々から悪化していた財務内容を
深刻化させ、2009年3月末の連結決算で631億円の
赤字で4月〜6月では990億円の赤字でした。  因みに、JALの路線数は400、従業員
は47000人で、2009年3月末の売上高は連結で1兆9491億円です。  有利子負債は
8000億円あり、その内の2300億円は日本政策投資銀行の融資です。
  JALと聞けば国際線というイメージが先行しますが、松本空港のような国内の地方空港
にも乗入れています。  しかも、松本へはJAL1社だけなのです。  松本空港は2億4千
万円の赤字を出しています。 このような不採算空港にまでJALはなぜ路線を広げている
のでしょうか。
  日本には97の空港があります。 地方自治体が管理する空港は58ありますが、何とそ
の内の53が赤字と云います。   こんな不採算空港を作り続けさせて来たものこそ空港
特別会計(現在は社会資本整備事業特別会計空港整備勘定という)なのです。
  この勘定は、航空会社が支払う着陸料、空港使用料、航空機燃料税を財源とし、2009
年度の予算は5280億円です。   地方自治体が主導して建設・運営する空港にもこの
勘定から50%が補助金として支出されているのです。
  前原国交相によれば、予算があるので採算に関係なく新空港を作らせることになり、
空港が出来ると政治家や役人がJALに飛ばせと押し付けて来たという。
  JALは20年前に国営企業から完全民営化されましたが、メインバンクが日本政策投資
銀行であったりまだ親方日の丸体質があったのです。   つまり、潰れることはなく最後
は国が支援してくれるという意識と政財官のもたれあい構造がAL経営不振の根本原因
だったのです。
 JALは遂に平成22年1月9日会社更正法の適用を申請しました。   負債総額は2兆
3221億円で事業会社としては戦後最大の破綻で、2月20日に上場が廃止されました。
2010年3月末で8449億円の債務超過ですが、企業再生支援機構が破産管財人となり
3500億円の債権放棄を含む総額7300億円の債権カットと支援機構からの3000億円の
出資により債務超過を解消して再建を図ることになります。




                  行政書士田中 明事務所