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    < エッセー>  欧米人は、なぜサムライが好きか?



  平成17年(2005年)は、日本海海戦から100年目だそうです。  三笠公園の岸に
半永久的に繋留されている戦艦三笠の前を通ったらそんな垂れ幕が掛かってました。
  この戦艦三笠はいうまでもなく本物です。  今のイージス艦よりもまだ小さい戦艦
ですが、主砲には堂々たるものがあります。  世界の海戦史上にもないようなパー
フェクトゲームをやってしまった日本艦隊の旗艦ということで保存されているわけです。
  この頃が、明治という時代のピークだったのでしょう。 大国ロシアに奇跡的に勝っ
たということで、その後の歩みがまことに狂ったようになってしまったことは、ご承知の
通りです。   日露戦争そのものが薄氷の戦いでした。  日本は弾丸を使い果たし
ておりもしアメリカが調停に入ってくれず戦争が続いていたとしたら、恐らく立場は逆
転していたはずです。  その意味で、アメリカは恩人なのです。
  調停を買って出てくれたセオドル・ルーズベルトという大統領には、嘘のような本当
の話があります。   新渡戸稲造の『武士道』を読んですっかり日本人の武士道に感
服し閣僚全員に本を配布して、日本人種を滅亡から救わねばならないと説いたという
のです。

  最近では、映画「ラスト・サムライ」の監督も、この本を貪るように読んだといいます。
一体『武士道』の何が、これほどまでに欧米人を感動させるのか・・・・。                     
武士道には、欧米人が失って久しい騎士道精神に通じるものがあって、アイデンティ
ティーを見出すからではないか。  つまり、武士道というのは決して日本独自のもの
ではなくて人類に共通する精神なのです。
 そして、欧米ではもはや顧みられなくなっているのに、日本人にはまだ生きているら
しいということで畏敬の目で見るようになったのはないか・・・・。
  ヨーロッパには、明治の初め頃からジャポニズムの伝統があります。  日本の浮世
絵がヨーロッパの印象派に色濃い影響を残したのは事実です。   明治以降に日本
が一方的にヨーロッパから文化を移入したのではなくて、交流は双方向的であったの
です。  そおいう双方向性の中で、欧米人は日本文化のエキスを『武士道』に見出し
たのではないかというのが私の考えです。



                  行政書士田中 明事務所