内容証明郵便でブレイク ! 第45号
平成18年11月25日発行
今回の目次
□ マルチ商法と取消権
□ 通信販売と電話勧誘販売
□ マルチ商法と取消権
マルチ商法と来れば、まずクーリング・オフが浮かびます。
しかし、20日が過ぎていれば元の木阿弥で、泣き寝入りかというのがこれまでの
パターンでした。
しかし、2004年の特定商取引法改正で、
連鎖販売取引に取消権を認められました。画期的な改正というべきです。
どんな場合に取消が出来るのかと言いますと、
統括者・勧誘者に不実の告知又は故意の事実の不告知があった場合、
連鎖販売業者に不実の告知があった場合です(法第30条の3)。
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マルチというのは、会員になった人が新会員を開拓していかない限り、
元さえ取れない仕組みです。
ですから、新会員の勧誘に傾注することになり、その際ついうまい儲け話を
してしまうのです。
いや、うまい話をしないで会員なんか入る人はいないでしょう。
しかし、嘘を言って勧誘するのは違法であり、放置は出来ません。
ということで、新会員の無店舗個人に限って取消権を認めたというわけです。
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さて、勧誘者とは統括者から勧誘を委託された者をいいますが、
経済産業省の通達では会員AがBさんを説明会に連れて行き、
統括者に紹介したという場合に、会員Aは勧誘者になるとされます。
ですから、Aから不実の告知があり、誤認して契約した場合で、
統括者の社員も同席していて黙って会話を聞いていたという場合には、
Bさんは嘘に気付いてから6ヶ月以内なら取消を統括者に主張出来るのです。
□ 通信販売と電話勧誘販売
いずれも業者の顔を見ることなく契約するタイプです。
大きな違いは、通信販売の場合はクーリング・オフが出来ないことです。
当事務所に相談のあった事案ですが、
業者のHPを見て無料体験を申し込み、
後で送られて来た契約書に署名・捺印して郵送したとのことです。
これだけですと、通信販売に見えます。
しかし、無料体験だけのつもりが、電話でしつこい勧誘を受けていたのでした。
電話による勧誘があった時点から、本件は電話勧誘販売ということになります。
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さて、契約の中身です。
速聴のCDなのですが、契約書の商品名欄には「能力開発プログラム ・・・・
何とかコース」と、どんな商品なのか、第三者が見てもさっぱり分からない
長たらしい名称が記載されています。
商品名には、固有名詞の他普通名詞、つまりCDも併せて記載せよ
というのが通達です。
これは明らかに契約書の不備なのです。クーリング・オフが可能です。
依頼者によれば、2ヶ月使用して見て効果が無かったら返品していいです」と、
言われ、それならばと契約しているのです。
しかし、実際に2ヶ月使用して見て速聴の効果がなく、返品にも応じてくれないし、
130万円(クレジット支払額では170万円)で買ったがそもそもそんな価値はない
と言うのです。
これは債務不履行、消費者契約法の取消、民法90条の無効の問題でもあります。
結局、これらの主張出来る事実を全て内容証明郵便に書き捲くったところ、
業者は沈黙したままです。返品には応じると思います。
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