内容証明郵便でブレイク !  第42号
              平成18年5月30日発行            

              今回の目次
        □ 悪徳リース提携商法と闘う
        □ 開業準備行為と商人資格の取得



    □ 悪徳リース提携商法と闘う

 リース契約というのは、事業者つまり商人が利用するものであり、
非商人が利用する意義はほとんどありません。

 しかし、最近では非商人つまり消費者が悪徳な業者に騙されて
リース契約を結ばされるケースが増えています。
 最近では電話機・電話回線のリース契約商法で、トラブルが多発し、
行政庁も通達を出した程です。

 この通達というのは、訪問販売の業者がリース契約も代行している場合、
購入目的が家庭用・個人用に限りクーリング・オフが出来、
それはリース会社にも対抗出来るとしたものです。
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 しかし、リース契約が商行為となる場合には、全く無力なのです。
ところで、商人かそれとも非商人かは、中々判断に迷うことが結構あります。
そこで、目敏い悪徳業者はターゲットをそのような自営業者にシフトして来ています。

 例えば、Aさんが自宅兼用の賃貸マンションの一室で、エステ業を開業しているとします。
エステは一人でやっており、簡易ベットがひとつと化粧品類がある程度である。
Aさんは、商人と言えるでしょうか・・・。

 まず、Aさんは商法第4条第2項第1号の「店舗その他これに類似する設備により
物品の販売をなすを業とする者」ではないと、私は考えます。
 とすれば、Aさんは擬制商人ではないことになります。
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 次に、エステ業は、商法502条にある「客の来集を目的とする場屋の取引」に
なるか・・・。
 エステのお客との間には請負又は労務に関する契約があるだけで、
施設の利用を目的とした契約はないと、私は考えます。
よって、結局第502条但書により商行為とはならないことになります。
 つまり、Aさんは商行為を業となす者には該当せず、
本来の商人でもないことになります。
  
 ですから、訪問販売で電飾看板設置(照明器具の設置は、指定役務)のリース契約を
結んでも、商行為とはならずクーリング・オフが出来るというのが、
私の見解です。

 結局、商行為の立証責任は業者にあります。
要は、主張すべきは主張して、後は裁判しかないという闘う姿勢を見せることが、
一番の悪徳業者対策になるのではと考える次第です。


   □ 開業準備行為と商人資格の取得

 まだ開業前であっても営業の目的で銀行から融資を受けたり、
店舗に使用する設備のリース契約を締結することがあります。

 これが開業準備行為であり、附属的商行為とされます。
つまり、開業前であっても、商人の資格を取得することがあるのです。
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 では、この商人資格というのは、何時から取得することになるのでしょうか・・・。
判例・通説は、主観的に営業意思が実現されただけでは駄目で、
相手方もそれを認識し得る状況にあった場合としています。

 つまり、認識し得る状況にあったことの立証責任は、相手側にあるのです。
例えば、契約書に屋号を使用した場合、それで商人資格を取得するのか・・・・。

もし、その屋号は仮称であって、継続反復して使用する意思がなかったとしたら
どうでしょうか。
店舗がある場合とない場合でも、立証責任には微妙な違いが出るのではないか。

 商人資格の取得という問題は、まだ未開拓のようです。
しかし、悪徳業者というはこんな隙間にもしぶとく入り込んで来ます。
事例と理論の研究が、急がれる所以です。

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