内容証明郵便でブレイク ! 第41号
平成18年4月29日発行
今回の目次
□ 情義的保証人の動機の錯誤
□ 散り行く徒花
□ 情義的保証人の動機の錯誤
親戚や友人の債務者から連帯保証人になってくれと頼まれて
しぶしぶなる連帯保証人を、情義的保証人といいます。
債務者は依頼する時、迷惑は掛けないからとか安心させることを言うのが普通です。
しかし、嘘とか経済状況が破綻寸前なのにそれをひた隠しにしていて、
連帯保証契約の締結から半年位で倒産してしまったという場合は、
これとは大分事情が異なります。
債務者が破綻必至と分っていて連帯保証人になる訳もありません。
連帯保証人は債務者が破綻寸前の経済状況にないと
信じたからこそ連帯保証人になったのですから、
連帯保証人になる動機に錯誤があったと言えます。
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今考えるこれが一般の常識に最も近いと思いますが、
最近までこんな判決にお目に掛かることはなかったのです。
しかし、とうとう画期的な判決(東京高裁平成17年8月10日判決)が出ました。
[事案] 債務者はシステム金融から1000万円超の債務があり、
破綻必至の状態にありながら、義兄にこれを隠して連帯保証人になってもらい、
2500万円の融資を信用金庫から受け、4ケ月後に不渡りを出して倒産した。
判決では、「融資の時点で破綻状態にある債務者のために保証人になろうとする者は
存在しないというべきであるから、保証契約の時点で主債務者がこのような意味での
破綻状態にないことは、保証しようとする者の動機として、一般に、
黙示的に表示されているものと解するのが相当である。」し、判示しています。
信用金庫も調査すれば容易にこの状況を知り得る立場にあり、
たとえ2000万円の融資を実行したところで、借入金の返済には追いつかず、
早晩、破綻必至の状況であることは分ったはずなのです。
こうして、連帯保証契約は動機に錯誤があり、その動機は表示されているとして、
要素の錯誤により無効とされたのです。
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当事務所にも連帯保証人の解消のことで、相談が結構あります。
しかし、いつも偽造のケースは別として、連帯保証契約を解消するなんて
今の日本では難問中の難問ですと答えざるを得ませんでした。
実際、本人が自分で印鑑を押していれば、本人に意思が推定されるという
最高裁の判決がある為、連帯保証契約は有効に成立していると
自動的に認定されてしまっていたのです。
さて、この判決は弁護士にとっても寝耳に水だったようです。
「目から鱗が落ちた思い」というのが、率直な感想のようです。
ご参考までに、赤裸々な所見を載せているある法律事務所のブログを、
以下に載せます。
http://osaka-futaba.cocolog-nifty.com/futaba/cat5451052/index.html
□ 散り行く徒花
日本の七不思議のひとつ、金利のダブルスタンダードが、
解消される方向にあります。
50万円をサラ金から借りたとします。
利息制限法の上限は18%で、これを超える金利は無効とされます。
しかし、これまでサラ金は27%の利息を堂々と取って来ました。
この18%と27%の間を、グレーゾーンというのです。
今盛んに提起されている過払い返還訴訟というのは、
このグレーゾーン分の金利を払い過ぎたから返せという当り前の訴訟なのです。
当然の権利行使ですから、原告が負けることはありません。
そんなことでサラ金は、この訴訟に戦々恐々なのです。
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本来グレーゾーンなんて存在することがおかしいのですが、
議員立法で出来た貸金業法に、
「みなし弁済」なんて訳の分らない条項があった為に、
サラ金はそれを盾に平然と利息制限法を無視出来たのです。
しかし、地裁で「みなし弁済」を認めない判例が蓄積され、
最後は近時の最高裁判決で止めを刺されることになったのです。
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