内容証明郵便でブレイク ! 第3号
平成15年8月25日発行
今回の目次
□ 再度、行政書士と債権回収業務について
□ 内容証明郵便を代理人が送付する場合
□ 再度、行政書士と債権回収業務について
前号で、私は債権回収業務について、つい誤解を受け易い表現を
していました。
確か、行政書士も委任があれば、代金の回収が出来ると書いたと思います。
もしかして、行政書士は債権の取立てが出来なかったのではないか・・・・と、
発信後にハタと思いました。
実をいいますと、私は今かなり迷っています。
本当に行政書士は、債権回収業務を全く出来ないのだろうか・・・と。
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グーグルで検索していて、こんな学説を見付けました。
弁護士法72条の「法律事務」の解釈を巡るもので、事件性が必要かが
争点となっています。
『債権の取立ての委任であれば、「通常の手段では回収困難」
である場合(最高裁小法廷決定昭和37・10・4)であり、
すでに訴訟に依らなければならないような具代的事情にあって、
一の法律事件と目される事案への介入と認められることによって
取締りの対象となるのである。いわば、その法律事務には「事件性」とも
いえべき属性が必要とされるというべきである。』 (福原忠雄弁護士)
※ 下記をご参照下さい。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/4s2_s2.htm
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これは一弁護士の見解であり、通説とはいえないかもしれません。
であるとしても、最高裁決定にある「通常の手段では回収困難」で
ある場合、という表現に引っ掛るものがあります。
その決定の全文は読んでいませんが、通常の手段で回収できる場合なら
弁護士法72条の「法律事務」に当たらず、委任があれば行政書士も
業務として出来ると、解釈出来る余地が残ると思うからです。
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ところで、この説に立って債権回収を業として行っている行政書士は、
今のところまずいないと思います。
もっとも、内容証明郵便による債権回収について、
HPに掲げている行政書士は、沢山います。
しかし、よくHPを読んで見ますと、支援とかサポートをしますとなっています。
つまり、HPの内容のほとんどは、本人が自分で債権回収をする場合の
留意点を長々と解説しているのです。
そして、自分で全部やるのは無理だという人がいたら、
行政書士が後方から精一杯支援致しますよ、と言っているのです。
さすがに、行政書士も街の法律家といわれるだけはあります。
あまり介入すると、弁護士法72条に抵触する恐れがあることを、
ちゃんと心得ていて、支援とかサポートと言っているわけです。
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ところで、支援とかサポートの中味は一体何なのでしょう・・・。
要するに、内容証明郵便とかに関する相談業務の延長線上にある
コンサルタント的サービス業務というべきものではないのか・・・。
まず、行政書士が債権回収に関する依頼を受けたら、
内容証明郵便を送付して、相手方の反応を見ることから始めるでしょう。
そして、払うからと連絡があった場合、行政書士が本人の委任により
代金を受領することは、別に問題はないはずです。
なぜなら、本人の使者として受領しているだけで、
債権の取立てでも何でもないからです。
また、相手方から減額や返済猶予の申入れがあった場合、
本人の委任を受けて、債務返済計画書や債務承認書を作ることも
出来るでしょう。
これは、権利義務に関する書類の作成であり、
行政書士の業務そのものだからです。
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問題は、相手が全く反応して来ず、法的手続きを取るしかない場合です。
請求金額がそれほど大きくなくて、弁護士を付けないのなら、
本人が主体となって申立をすることになります。
行政書士が小額裁判の訴状や調停申立書などを、
業として作成することはもちろん出来ません。
では、行政書士がやれることはもう何もないのだろうか・・・・。
いや、そんなことはありません。
行政書士が支援出来る業務は、まだあるのです。
つまり、本人の証拠収集や証言の取りまとめを支援し、
事実関係を立証する為の書類(=事実証明に関する書面)を
作成する業務です。
行政書士が本人の委任によりそれらの書類を作成し、
本人がそれを持って簡易裁判所へ出席するわけです。
もっとも、例外的に簡易裁判所の許可があると、
行政書士が訴訟や調停の代理人になれる場合がありますが・・・。
現在のところ、許可の条件が定かでありません。
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これが、債権回収の支援とかサポートといっているものの中味なのです。
つまり、 行政書士が情報の提供や事実証明の書類作成を通じて後方から支援し、
本人が主体となって行う債権回収を出来る限りお手伝いしますよと、
提案しているのが支援とかサポートの中味なのです。
□ 内容証明郵便を代理人が送付する場合
内容証明郵便を電子内容証明郵便で送る時代になっても、
まだ従来通りの郵便局に持参して送る方法を選ぶ人はいます。
行政書士の真赤な職印が押されるからとか、
裁判所内の郵便局から送ればスタンプに裁判所名が明記されるからとか、
そおいう外観面からのプレッシャーも期待出来るというのがその理由のようです。
しかし、その反面で電子内容証明郵便に比べると、不便なところがあります。
特に行政書士が作成して送る場合でも、本人の印鑑が必要になります。
つまり、書面への押印のみならず、割印や訂正印も本人の印鑑でなければ駄目で、
代理人行政書士〇〇の職印では全く対応出来ないのです。
依頼人が遠隔地にいる場合、本人の印鑑を戴きに出かけていくか、
本人に内容証明郵便を送ってもらうことにならざるを得ません。
※ なお、局によっては、行政書士の職印で対応可能なところもあるようですので、
郵便局にご確認下さい。
これでは、作成から発送までタイムラグが生じてしまい、
クーリング・オフなど緊急性のあるものには、全く不便極まりないというべきです。
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その点、電子内容証明郵便は、印鑑の問題が発生せず、
迅速に対応出来ます。
字数でも、従来の20×26という制限は撤廃され、
余白や文字の大きさに制限があるだけです。
電子内容証明郵便は24時間営業していますから、
行政書士は依頼を受けてその日の何時間後には、
もう発送することだって出来るのです。
これからは、何かと便利な内容証明郵便が、
間違いなく主流になるだろうという予感のする昨今です。
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