内容証明郵便でブレイク !  第38号
               平成18年1月4日発行            

             今回の目次
        □ ジェイメディア事件の波紋
        □ 銀行実務雑感



   
 □ ジェイメディア事件の波紋

 ジェイメディアというのは広告代理店で、
主にJR駅構内の電光表示式媒体を使って広告を掲載していたが、
3年半前に倒産しました。

 この業者は広告掲出料の集金代行をクレジット会社にさせると偽って、
実はクレジット契約を締結させていたのである。
 広告主は法人で商行為となる為、クレジット契約なら支払停止の抗弁が出来ない。
その結果、クレジット会社の請求に泣く泣く応じていたのです。
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 しかし、世の中にはこれは理不尽だとして抵抗する人が必ずいるものです。
そして、ついてには広告主を救済する判決が出たのです。
 横浜地裁平成17年3月25日判決である。

 判決によれば、広告主は集金代行だと聞いて契約しており、
クレジット会社に一括して立替払してもらうことを委託する意思がなく、
要素の錯誤によりクレジット契約は無効としたのです。
 
 実は当事務所にもジェイメデイア関連の広告主から相談があり、
急遽調べたらこの判決と出合ったという次第です。
この時は正直感激しました。
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 錯誤は中々認定されないと聞きますが、
広告主を救済すべき重大な事実があったのでしょう。

 多分、この事件はシェイメデイアとクレジット会社が結託した、
詐欺的な事件に近いのだと思います。
 つまり、集金代行のように装って客を勧誘しつつ、
裏では広告掲出料に分割手数料を上乗せしたクレジット契約を結んでいたのです。

 クレジット会社が加盟店の管理責任を負うべき事案であり、
立替払契約なんて夢にも思っていない広告主の錯誤が認められて然るべきケース
だったのです。
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 この事件も割賦販売法のすき間を付いた事件でした。
商行為の場合、割賦販売法で保護する必要がないなんていう考えが、
如何に現実と齟齬を来しているかを如実に示す事件でした。


     □ 銀行実務雑感

 銀行から住宅資金や事業資金の融資を受ける際には、
土地と建物に抵当権が設定されるのは当然として、
まだ不足ならば物上保証人の物件にも根抵当権が設定され、
さらには包括根保証契約を締結させられるのが通例です。

 最近、当事務所にあった相談です。
物上保証人(本人以外の抵当物件の提供者)の家が築40年なので
建替えたいが、その際一部を代位弁済して抵当を外したい。
銀行との協議を代行して貰えないかというものでした。
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 行政書士の契約代理業務の範疇には、銀行との協議も含まれるはずです。
ということで、私は最近銀行に本人と一緒に出向いた次第です。
 その物上保証人が申すには、銀行は残金を聞いても中々教えず、
説明もよく分からないとのこと。

 実際に銀行担当者と面談して見て、事情が少し見えて来ました。
まず、個人情報保護法の関係もあるし、
根抵当権なので元本を確定しないと残高は出ないのです。

 また包括根保証なんてのは一般の人が知っているわけがない。
そして平成17年4月1日からは、この包括根保証が禁止になっています。
そんなこともあって、銀行との協議が結構複雑な様相を呈しているのです。
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 まず根抵当権の確定なら、3年経過していたので物上保証人の
請求により確定出来ます。極度額も請求により確定元本まで減額出来ます。

 次に包括根保証である。これは極度額も期間も定めていないものです。
判例では一定期間が過ぎければ、一方的に解約出来るとされているのです。
もっとも解約しても既に発生している残金の保証責任は残存します。
 
 今回の銀行との協議で、根抵当権抹消に必要な弁済額が分かりました。
その額は調達可能な額でしたので安心しましたが、
依頼者は包括根保証が残存することに納得が行かない様子である。
 さあこれからがいよいよ正念場です。

 それにしても根抵当権の他に包括根保証も結び、
二重の担保で雁字搦めにするのが銀行実務なのだと改めて実感した次第です。

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