内容証明郵便でブレイク !  第35号
               平成17年10月26日発行         

             今回の目次
        □ 第三者行為による負傷と健康保険
        □ 中途解約の違約金



   □ 第三者行為による傷病と健康保険

  喧嘩で殴られたとか、交通事故での負傷とか、スキー場で衝突されたとか、
要するに第三者の行為が原因で発生した病気や怪我を、
「第三者による傷病」といいます。

 当り前ですが、この場合でも負傷者は、加入している健康保険の適用があります。
ただし、「第三者による傷病届」というものを、医療機関に提出する必要があります。
 この届は要するに、国や健康保険組合が7割負担分を被害者に求償する為に
求めているのです。

 第三者に過失がある場合には、加害者に損害賠償請求権が発生しますから、
先に7割負担分を支払っておき、後でこの権利を代位して求償するわけです。
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 そこで、被害者と加害者が示談をして、
加害者がさっさと損害賠償金を支払った場合はどうでしょうか・・・。

 被害者は損害賠償金の中から、7割負担分を医療機関に支払う必要があります。
結果として、医療費を全額負担したことつまり健康保険が適用されないのと
同じことになりますが、一般的にはこれは稀なケースでしょう。
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 さて、次に、加害者がまだ未成年の場合、
その親が求償権の行使に応じなければならないかです。

 子供に責任能力(12歳位の能力)があれば、
親に監督責任が問われるような場合を除き、子供に支払義務が発生します。
 親が代位弁済するという合意をすれば、親に求償出来ますが、
親には代位弁済を拒否する権利があります。

 加害者の親は子供が事故を起こしたとなれば、動顛していますから、
健康保険組合から送られて来た代位弁済の誓約書などにうっかり
印鑑を押してしまうことがあり得ますので、
通知が届いたら専門家のサポートを受けるべきです。
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 最後に当事務所に相談のあった事例ですが、
高1の息子が学校で喧嘩して相手を負傷させたが、
正当防衛ではないかというものでした。

 一般には喧嘩両成敗といって、中々正当防衛にはならないのですが、
事例のケースは、口論中に突然殴り掛かって来たので止むを得ず防衛の為
殴り返したというもので、急迫不正の侵害に対する最小限度の防衛行為と
いえるものでした。

 結局、相手から慰謝料の請求に対しては、正当防衛を主張して拒否しました。
相手からは、その後何とも言って来ません。
 この場合には、損害賠償請求権が発生していないのですから、
健康保険組合は求償が出来ません。
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 幸い学校が加入していた日本スポーツ振興センター(独立行政法人)の
災害共済給付が受けられましたので、
被害者には医療費の自己負担分と見舞金が支払われました。

 同センターは、第三者の過失で生徒が負傷した場合には、
求償権を取得しますが、生徒間の喧嘩では取得しません。
 このように、第三者が関係する事故の場合は、他の保険も絡んで結構複雑です。
事案の中身をよく検討する必要があるのです。


    □ 中途解約の違約金

 賃貸借契約では、通常2年とか4年の期間を定めます。
そして、中途解約する場合には、残存期間の賃料相当額を違約金として支払え
という特約が時々見られます。
 これは、債務不履行の損害賠償金の予約とされ、違約金の額が高額過ぎて
公序良俗に反する場合以外は、有効とするのが判例です。

 1年分位までの違約金なら有効とされますから、
契約書は事前にチェックしたいものです。
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 最近、問題になっているものに個人年金保険の解約があります。
銀行が生保の代理店になって、高齢者を狙って訪問販売しています。

 訪問販売ですから、8日間以内ならクーリング・オフの適用があるかと思いきや、
変な理屈を付けて生保がクーリング・オフを拒否してくる場合があります。
 しかも違約金として元本の7%を取るという。
1000万円とかを預金を解約して支払ってますから、7%といっても大きな額です。

 クーリング・オフ制度とは、悪徳業者から消費者を救済するものと思っていたら、
東京三菱とか一流どころがこんな変な限りなくグレーなことをやり始めてトラブルに
なっているとは・・・。
 生保や銀行の約款を読んで見ようかと思うこの頃です。

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