内容証明郵便でブレイク !  第34号
               平成17年9月2日発行            

             今回の目次
        □ 子供の事故と親の責任
        □ 公正証書遺言を作る前に



   □ 子供の事故と親の責任

 残暑が厳しい中、小学生が沢山歩いてました。
いよいよ新学期が始まったのです。
 さあ仕事モードに切り換えねばと思っていますと、
子供の喧嘩に関するメールが飛び込んで来ました。

 高校内で休憩時間に高1の息子が高2の相手と口論になり顔面を殴られたので、
殴り返したら左眼窩底骨折で9日入院、通院3ケ月の怪我を負わせてしまった。
 相手の親から本人に300万円超の慰謝料請求が来たが、
支払わねばならないのか・・・? というものでした。
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 ここで一番のポイントは、子供の責任能力です。
責任能力とは、12歳から13歳の子供に備わっている責任を弁識する能力です。
つまり中学1年生以上であれば、通常責任能力ありとされるのです。

 子供に責任能力があれば、親に責任は発生しません(民法712条、714条)。
上の場合も高1ですから、責任能力があります。
ですから、親に支払義務はないことになります。

 高1の息子に普通支払能力はありませんから、
結局親としては学校の責任を追及するしかないことになります。

 ほとんどの学校は、スポーツ振興センターの災害共済に加入していますから、
治療費と見舞金はそこから出ます。
しかし、学校が慰謝料の支払義務を負うかは、
教師の眼の届く範囲で起こった事故でない限り難しいでしょう。
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 このように未成年者による不法行為は、
損害が補填されない危険があります。
これは契約関係の場合も同様です。

 未成年者と契約しても取消される場合がありますし、
スポーツなどの個人指導をやる場合は親と契約書を交わすべきです。

 報酬を後で請求出来るだろうと思って、さんざん教えた後、
報酬の約束なんかなかったと居直られたらもう最後です。
親には当然請求出来ませんし、
報酬の特約のない委任契約というのは例外的にしか認められず、
訴訟を起こすにも非常に不利だからです。


  □ 公正証書遺言を作る前に

 相続財産のメインは、預金と不動産です。
故人の預金口座は直ぐにも解約したいと思うのが、
後に残された遺族の気持ちです。

 公正証書遺言の効用として、この口座解約のスピードアップ化があります。
遺言執行者を指定しておけば、郵便局なら遺言執行者の印鑑で、
銀行口座なら遺言執行者と受遺者の印鑑で解約が出来ます。

 法定相続人が全国に何人も散らばっているという場合、
公正証書遺言がなかったら、大変なことになります。
目の前に何千万円という預金がぶら下がっているのに、
いつまでも眺めているだけという惨めな事になり兼ねません。
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 公正証書遺言を作る目的というと、
これまで相続争いの回避とか、遺産分割の方法を指定するとか、
そおいうイメージが先行していたと思います。

 しかし、私は預金口座解約のスピード化という点が、
これからの売りだと考える者の一人です。

 そして、遺言者がなくなった後のこと、
つまり遺言執行のし易さも十分考慮して作るべきです。
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 外国人や在外邦人が受遺者になったり、登記手続に関係させるような
公正証書遺言の作り方は回避するのが得策です。

 内容は遺言者の意思で決めることではないかと仰るかもしれませんが、
もしそんな公正証書遺言を作っても、
遺言執行の目的が達成されない可能性があります。
そんな外国にいる人が、
こちらの要請する書類を素直に送って来る保証は全くありません。

 結局、遺言執行は頓挫し、
何の為の公正証書遺言を作ったのか分らなくなるということです。
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 公証人は、法定相続人の調査などやりません。
公正証書遺言に関してはほとんど代書人と変わりません。
サービス精神なんか全くなく、言われたまま作るだけです。

 ですから、公証人役場に行く前にまず行政書士に相談して、
スピードアップでも遺言執行の容易さでもベストな原案に仕上げて下さいと、
私は提案しているのです。
 公証人が原案通りに作ってくれることは、
謂うまでもないのですから。

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