内容証明郵便でブレイク ! 第31号
平成17年6月29日発行
今回の目次
□ 公証人は仙人でいいのか・・・
□ 公証人が使う公正証書遺言の文言について
□ 公証人は仙人でいいのか・・・
公証人役場というのは、
一般の人にとって名前を聞いたことはあるものの、
何をしているのかはよく分からないというのが一般的な印象だったと思います。
ずっと以前から公証人役場は、
契約書関係の公正証書などを主に細々と作って来たのですが、
最近では公正証書遺言や任意後見契約の公正証書を作るところとして、
利用価値は確実に増加しているのである。
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しかし、その一方で公証人の評価は今ひとつなのである。
公証人の評判をいたく落としているものに、
商工ローン、消費者金融関係の公正証書があります。
本人から委任状を取り、業者の従業員や提携の司法書士を代理人にして、
本人は全く出頭せず、公正証書の内容も知らされず、
執行認諾約款付き公正証書という強制執行力のある重大な証書が、
いつのまにか作られるいる事態が起こっているのです。
結局、公正証書が業者の安易な債権取立の手段として利用されているのである。
ひどい場合は、債権額が利息制限法で再計算すると、
過払いになっているケースもあったという。
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このような公正証書の問題は80年代から指摘されていたのに、
全く実態は変わっていたのである。
これでは、公証人というのは、まるで仙人ではないか・・・・。
公証人役場は判事や検事の定年退職者の受け皿なのであるが、
年収は2千万、3千万もあるらしく、定年公務員が多い行政書士とは
比較にならないほど恵まれているのです。
そんな公証人があんな実態では、
輝かしいキャリアが泣くというものである。
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弁護士連合会はさすがに動いて、
公証人法の改正を求める意見書を発表しています。
以下がそれです。
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/data/2005_10.pdf
ポイントは、公証人の教示義務、本人出頭、双方代理の禁止である。
読めば読むほど当り前の話である。
なぜ今まで是正されなかったのか、不思議でならないのである。
□ 公証人が使う公正証書遺言の文言について
マンションをAさんに遺贈したい場合、
公正証書遺言で「マンションをAに遺贈する」と、
記載すれば十分のはずです。
しかし、Aさんが法定相続人である場合、
「マンションをAに相続させる」と、公証人が書く場合があります。
この記載方法については、判例でも認められ、
「遺産分割の方法を定めたもの」とされています(H3・4・19 最高裁判決)。
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しかし、これに問題がないわけではありません。
例えば、遺言者が配偶者も子もないAさんの妹Bさんであった場合、
Bさんが死亡する前に、BさんがCさんを養子にしたらどうなるでしょうか・・・。
Bさんが亡くなると、Cさんに相続権が発生し、Aさんは相続人から外れ、
慌ててAさんが遺贈登記を申請しても登記官には受理されないはずです。
結局、あの公正証書遺言ではマンションを貰えなくなるのです。
もし「マンションを遺贈する」になっていれば、
Cさんが養子になってもマンションの半分は貰えたのにです。
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なぜ、こんな危ない公正証書遺言を作るのか・・・・・・。
ひとつに相続登記の方が遺贈登記より登録免許税が、
五分の一で済むということらしい。
公証人は公証実務が生み出したすぐれた知恵だなどと自画自賛しますが、
バブル期に比べすっかり値下がりして億ションなんて夢のまた夢になった
時代にこんな危ない公正証書遺言にする実益が本当にあるのでしょうか・・・・。
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