内容証明郵便でブレイク !  第25号
               平成16年12月30日発行

             今回の目次
        □ 委任契約と報酬について
        □ HPは地球を回っている



   □ 委任契約と報酬について

 委任契約が成立しているとして、報酬の約束が特になかった場合、
報酬は請求出来るでしょうか・・・・・・。
 民法648条1項には、特約がなければ請求出来ないと規定されています。
条文を素直に解釈すると、請求出来ないことになります。

 しかし、これって、どこか不自然だと思いませんか・・・・。
例えば、診療所で医者の診察を受けるのも委任契約ですが、
いちいち報酬の話なんかなくても、帰りにちゃんと受付で請求されますよね。
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 明治時代に作られたという民法の条文の方がおかしいのでしょうか・・・・。
民法の大家我妻栄の『民法講義』を紐解いて見ました。
 事実たる慣習により認められることがあるといい、特に委任を職業にしている場合は
商人でなくても有償と解すべきであると書いてあるではないですか・・・・・。

 つまり、さっきの医者の診療報酬請求権というのは、
事実たる慣習により発生するというわけになるのです。
 流石は我妻さんです。初めに報酬を明示していなくても、職業柄これが慣習なんだ
ということを立証すれば、裁判にだって勝てるのです。
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 我妻さんが出たついでに、歴史的なことに触れます。
委任ということが始めて登場するのは、ローマ法だそうです。
驚いたことに、ローマ法では委任で報酬は請求出来ないのです。
ローマ時代では、委任は知的労務とされ、
報酬を取ってするものではないと観念されていたからです。
多分、貴族などの支配階級が困った人などに無償でして上げる
義務みたいなものだったのでしょう。

 ローマ法は独仏法に受継がれ、この独仏法の影響を受けたのが日本民法です。
わが民法の委任は、特約がある場合に請求出来ると修正していますが、
ドイツ民法の条文は、今でもローマ法のままだそうです。
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 ではドイツでは委任で一切報酬は取れないのか・・・・。
そんなことはないようです。報酬を明示して契約すれば取れるはずですし、
慣習により取れることもあるでしょう。

 契約自由の原則で、報酬を取る委任契約も当然有効だからです。
結局、ドイツも日本もほとんど差はないのです。
でも、ドイツ民法だけはなぜローマ法のままなのかという疑問は残りますが・・・。

    □ HPは地球を回っている

 Webサイトは、地球の裏側に住む人でも見れます。
インターネツトの原理からすれば当然なのですが、まさかヨーロッパ在住の人が
見ているとはなかなか信じ難いところがあります。

 最近、間違いなく地球の裏側にも届いているのだという経験をしました。
ドイツ在住の日本人が私のHPを見て、メールで相談して来たのです。
ドイツとは8時間の時差があります。
こちらが朝8時だとすると、ドイツは夜12時です。

 朝8時に私がメールをしておくと、相手が朝メールを見てすぐ返信するとすれば、
その日の夕方には日本に届くというわけです。
 日本では返信が翌日になるというのが普通ですが、ドイツの方が逆に早いのです。
そんなことで、メールの交換に時差など全く障害になりません。
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 メールをくれたドイツ在住の日本人は、
現地でサッカー選手の指導を本業としている人。
日本から来た日本青年を色々面倒を見たが、その青年は不法行為を働いた揚句、
後始末もせずにさっさと帰国してしまったので、損害賠償の請求をしたいのだという。

 案件の難易度については横に置くとしまして、
今後こおいいう案件は増えそうな気配がします。
最近の若い人にとって、海外で生活することも北海道へ旅行することも
大した差がなくなって来ているのです。

 ますますボーダーレス化して行く地球・・・・。
そんな地球の回りを、HPは駆回っているのです。光と同じスピードで。
 それでは、よい年をお迎え下さい。

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