内容証明郵便でブレイク ! 第17号
平成16年4月17日発行
今回の目次
□ 取引経過の請求
□ 生前相続という選択肢
□ 取引経過の請求
当事務所では、消費者金融会社に対し取引経過の請求を行なっています。
それは内容証明郵便でしますが、ただ出してくれでは愛想も何もないので、
債務者の経済的事情の変化とか、全取引経過を請求出来る法的根拠とかも
綿々と書き連ね、最後の方で、
利息制限法に基づく再計算後の残債務による示談を、
仄めかして締め括っています。
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面白いと思うのは、各社によって対応が全然違うことです。
P社に至っては、要求してもいないのに再計算をして、
その結果だけを知らせて来ました。
しかも、-〇〇万円となっているではないですか・・・・。
何か裏に戦略でもあるのではと、依頼者と語り合ったほどです。
中には、貸金業規制法でいう帳簿の保存義務は、債権の消滅から3年だとして、
10年分は送って来ないものもあります。つまり、一度完済している場合があると、
完済から3年経過したところから切って、その後の分を送って来るわけです。
また、取引経過は、10年間保存義務のある商業帳簿に該当しないなどと言うのです。
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しかし、この主張は、裁判所で全く通用しないようです。
取引経過は、契約年月日、貸付金額、受領金額の記載がある貸金業規制法19条の
業務帳簿に該当し、同時に営業上の財産に影響を及ぼすべき事項を
記載した帳簿に含まれるから、商法32条の会計帳簿に該当します。
すなわち、取引経過は商業帳簿に該当し、帳簿閉鎖の時から10年間保存義務
があるというのが、裁判所の考え方です (札幌簡裁平成10年12月4日判決)。
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この結果、消費者金融業者は常に辛いリスクを背負っていることになります。
一旦裁判になれば、裁判所の業務帳簿提出命令に従わざるを得ないのです。
10年間の取引があれば、利息制限法による再計算の結果、
過払いとなる可能性は極めて高いはずです。
つまり、10年、いや7、8年の取引がある顧客からは、
何時過払いの返還を請求されてもおかしくないリスクがあるのです。
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欧米でも消費者金融は発達してますが、
日本のように高金利の消費者金融は、ないそうです。
従って、利息制限法による再計算とか過払い返還訴訟もないのです。
そもそもそんなリスクを負った商売が、成り立つほど甘い風土ではないのです。
その点、日本の消費者は、大人しいと思います。
一番問題なのは、金利についてよく分からないまま借りていることです。
多重債務者には、そんな人が多いのです。
過払いになったら、返還請求出来るなんて思ってもいないのです。
気の毒なのは、毎月10万円もの返済に追われ、
いつまでも借金地獄から抜け出せないでもがいている人達だ。
そんな人に情報が届いて、転機になればと、いつも思う。
□ 生前相続という選択肢
話をがらっと変えます。
若い人に多重債務に苦しんでいる人がいる一方、
60歳以上の人は大変な金持ちです。
日本には現在、1400兆円もの金融資産がありますが、
その半分を60歳以上の老人が保有しているのです。
戦後の高度成長期を堅実に生き抜いたこの人たちは、
消費というものを知りません。消費は、贅沢という観念があるのです。
その結果、家計の消費を抑え、不況の一因ともなっています。
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そこにメスを入れて、経済活性化を図ろうという趣旨の税制改革が、
平成15年1月1日から実施されています。
要するに、65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与を、
2500万円まで非課税としたのです。(住宅取得資金なら3500万円まで)
これで、相続税の非課税枠にかなり接近したことから、
生前相続と呼ぶのです。
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これは、これからかなり活用されると思われます。
なんせ、今の若い人は、不況下で苦しいのです。
月給は伸びず、住宅ローンや教育費が重く圧し掛かって来ます。
そこに、相続の時と思っていた財産移転が、
今すぐにでも可能になったのですから。
同居して介護してくれている長男の妻にも、養子にすれば生前相続が出来ます。
これまで遺言書でしか出来なかったことが、前倒しで可能になったのです。
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