内容証明郵便でブレイク ! 第13号
平成16年1月16日発行
今回の目次
□ 消費者の利益を一方的に害する条項
□ 事務所便り
□ 消費者の利益を一方的に害する条項
明けましておめでとうございます。
本年もコツコツと地道に発行して行きますので、ご愛読の程宜しくお願い申し上げます。
三浦地方は、春先まで空気が一番澄み切った季節に入ります。
富士山も、この時期だけはくっきりとした姿を見せます。
外はピリッと寒いが、日差しはフラッシュのように明るい・・・・。
これが三浦半島の冬の特徴です。
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さて、正月一番の仕事は、敷金返還でした。全額戻るかと期待していたら、
クロス総張替費、室内クリーニング代その他を控除されていて、
とても承服出来ないというものです。
それは当然です。
通常使用による損耗の修繕は、大家の義務であり、
原状回復といっても、ここまで借主が負担する必要はありません。
ただ、大家が口頭で承諾したものと信じて猫を飼っており、
猫のキズが一箇所あるというのです。
管理会社は、猫の匂いを除去することを理由に、
飼猫による損害金として、先の修繕費を請求して来たというわけです。
大家も大家で、飼猫の承諾などした覚えがないよとトボケテいるそうです。
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今思うには、後で高額な修繕費を請求してやろうという腹で、
うやむやな返事をしたのではないかと、思いたくなります。
それにしても、賃貸者契約書を見ると、
ことごとく賃貸人が一方的に有利になっています。
クロス張替え費、室内クリーニング代を、
原状回復の際に賃借人に負担させるのみならず、
必要費、有益費も賃借人の負担とする特約があるではないか・・・。
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民法の賃貸者の規定が、任意規定(当事者の特約がない場合に適用
される規定)ということで、こんな特約が契約自由の原則の下、
これまで許されて来たのです。
判例によれば、こんな大家に一方的に有利な特約など、認めていません。
判例の態度は、賃借人が原状回復の際に負担すべき義務を、
通常使用を超えて使用し汚損させた場合とか、
善管注意義務に違反した場合又は賃借人の故意・過失による損傷に
制限しています。
つまり、上記の例では、猫による損傷の箇所を修繕するすれば、
十分だということです。飼猫による損害金という名目で、
クロス総張替え費、室内クリーニング代を請求するというのは、
許されないのです。
もっとも、事案毎に判断されますから、飼猫による匂い等がひどい場合には、
一部負担する必要があるかもしれません。
その場合でも、経過年数に応じてクロスの自然損耗は、確実に進行しています。
そして、大家は経過年数に応じて、賃料の一部を減価償却費に充てています。
ですから、その減価償却費相当額については、
請求額から当然控除されて然るべきなのです。
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さて、消費者契約法は、賃貸借契約にも当然に適用されます。
ただし、平成13年4月1日以降に締結された契約からです。
本条10条は、消費者の利益を一方的に害する条項は無効としています。
まだ判例がありませんが、私には先の原状回復の際に、
クロス総張替え費、室内クリーニング代を賃借人の負担とする特約は、やっぱり
信義則に照らして、一方的に消費者の利益を害する条項と思えるのですが、
どうなのでしょう・・・・・。
□ 事務所便り
HPのトップに新しく下記を、追加致しました。
□契約の解消は、こうして勝ち取れ!
** 消費者はもう騙されない **
契約解除・取消・無効を主張したい時
□ 敷金は、こうして取り戻せ !
原状回復義務の範囲、
賃借人の負担すべき修繕費とは
この2つは、当事務所の今期重点課題と位置付けています。
内容証明郵便1発で解決出来るよう、研鑚を積む覚悟です。
契約社会と呼ばれながら、意外と契約書の内容には無頓着なのが
現状ではないでしょうか。契約締結の際は、契約書をよく読み、
不利益な条項はないか、チェックしましょう。
これが一番の予防法務なのです。
といっても、一般の人には、中々判断出来ないのが契約書です。
不安を感じたら、是非当事務所にご相談下さい。
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発行者 : 行政書士 田中 明 事務所
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